生活習慣病
生活習慣病とは?
生活習慣病とは、糖尿病、高血圧、メタボリック症候群、脂質異常症、脳卒中などを代表とする、日々の生活習慣が関係していると考えられる病気です。
食事、運動、喫煙、飲酒などの積み重ねを原因とする病気はたくさんありますが、どれも放置すると命に係わる重大な病気になる可能性があります。
現在日本人の無くなる原因の3分の2ほどは生活習慣病が原因であると言われています。
メタボリックシンドロームについて
メタボリックシンドロームとは、腹部の肥満(腸間膜周囲への脂肪の蓄積)により、
- 耐糖能異常(血糖の上昇平たく言えば糖尿病)
- 脂質代謝異常(中性脂肪の上昇や善玉コレステロールと呼ばれているHDLコレステロールの低下)
- 高血圧
といった動脈硬化の危険因子が 集積している状態をいうものです。
たとえ、それぞれの危険因子の程度が軽微であっても、集積すれば動脈硬化の発症が相乗的に高まるものです。
ここでLDLコレステロールの高値が危険因子として入っていないのは、LDLコレステロール異常単独で、明らかな動脈硬化の因子としてみとめられているからです。
メタボリックシンドロームの診断基準としては、
- ウエスト周囲径:男性 85cm以上 / 女性 90cm以上。
内臓脂肪面積:男女共に100㎠以上に相当 かつ、以下の項目のうち、2つ以上あてはまれば、メタボリックシンドロームに該当します。 - 高血圧:収縮期血圧 130mmhg以上、または拡張期血圧 85mmhg以上
- 血糖値異常:空腹時血糖値 110mg/dl以上
- 脂質異常:中性脂肪 150mg/dl以上。またはHDLコレステロール 40mg/dl未満
それぞれ1つ1つの項目は少しだけ基準値より高いといった程度でたいしたものではないように思われます。
しかし、それらが重なると1+1+1=3ではなく、1+1+1が、なんと36になってしまうのです!
詳しく説明しますと、心筋梗塞・脳血管障害の発生頻度が上記の項目が
1個 ⇒ 5.1倍
2個 ⇒ 5.8倍
3個 ⇒ 35.8倍 となってしまうのです。
1+1+1がなんと36になってしまうのです!
これゆえメタボリックシンドロームが注目され対策が必要となる理由です。
脳卒中とは
脳卒中とは、脳血管障害の総称で、
- 脳梗塞(脳の血管が閉塞して虚血により脳に障害が生じる病態)
- 脳内出血(脳の血管が破たんし出血により脳に障害が生じる)
どのケースも脳血管の異常による出血が原因であり、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などを発症します。
これらの症状は、死亡リスクが高く、日本の三大死亡原因のひとつです。
脳卒中の症状としては、脳の出血箇所によって異なりますが、症状は突如起こることがほとんどで、突然顔の麻痺がおこったり、手足の麻痺が起こったりします。
そのほかには感覚障害、筋力低下、舌の麻痺による言葉がうまく話せなくなるといった症状が起こります。
また、吐き気、頭痛、めまいなども症状として出ますし、場合によっては平衡感覚を失ってばったりと倒れてしまうことがあります。
高血圧とは
高血圧とは、その名の通り、血圧が異常に高く維持されている状態のことを言います。
正常な血圧は、最高血圧が130以下、最低血圧が85以下です。
高血圧とは、最高血圧が140以上、最低血圧が90以上の場合を指します。
高血圧であっても自覚症状はありませんので、健康診断などでわかるケースがほとんどです。
血圧が高いと虚血性心疾患、脳卒中、腎不全などを発症する可能性が高くなります。
高血圧はほとんど自覚症状がない為、米国ではサイレントキラーと呼ばれています。
ただ、一過性の自覚症状としては、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸、息切れなどを感じることがありますので、体に不調を感じた場合はできる限り早く検査を受けてください。
高血圧の原因は様々なケースが考えられますが、主には遺伝や偏った食事、肥満、運動不足等の生活習慣が原因である場合が多く、血管は年齢を重ねるごとに老化する為、高齢者は高血圧になりやすいのです。
さらに食生活に置いて塩分の過度の摂取、肥満、過労やストレスが重なると高血圧のリスクが高くなることがわかっています。
高血圧の治療法としては、食生活の改善、運動療法を基礎に、降圧薬による投与によって治療を行いますが、お薬で血圧を下げても生活習慣自体を改善しなければ、根本的な治療にはなりません。
当院では、根本的な生活習慣の改善についてもできる限りアドバイスを行っておりますので、まずはご相談にお越しください。
高脂血症(脂質異常症)とは
高脂血症(脂質異常症)とは、血液の中に含まれる脂質が過剰に多くになった状態のことを言います。
悪玉コレステロールといったことをお聞きになられたことがあると思います。
悪玉というのはLDLコレステロールという種類のコレステロールのことで、吸収されたコレステロールを全身の組織に運ぶ役割を担っています。
この、悪玉コレステロールが高いと 心筋梗塞の発症率が高まりますので、LDLコレステロールが高い方はまず改善させることが必要です。
高脂血症は、自覚症状がほとんどなく、日常生活の中で高脂血症であるかどうか判断することはまず無理です。
ただし、高脂血症長期に渡って放置すると、増加した脂質が血管の内壁に蓄積し、動脈硬化の原因となります。
動脈硬化が進行すると重篤な病気、心筋梗塞、脳梗塞などの可能性が高くなるため、定期的に健康診断を受けることが大事です。
高脂血症の治療としては
- 食べ過ぎないこと(摂取エネルギーの制限)
- 食事からの脂質の摂取を減らすこと
- それでも改善しなければ薬物治療に入ります
薬物治療として スタチン製剤により多くのケースで速やかにLDLコレステロールは改善しますが、効果不十分なケースではさらに他の作用機序の薬剤を追加投与することになります。
次に高脂血症、特にLDLコレステロールが高いとき起こる動脈硬化により起こる最も重篤な疾患として心筋梗塞について説明致します。
まず、LDLコレステロールが高値であると血管壁内にプラークという目玉焼きの卵黄部分のような油の塊が血管壁内に形成されてしまします。
このプラークが出来ると血管内腔が狭窄し血流が減少します。
さらに、プラークが大きくなるとプラークが破裂して血液と接触するとたちどころに血栓が形成され、この結果血流が途絶してしまいます。
※下記(プラークの形成について)の写真参照
プラークの形成について
心臓の冠動脈
心臓は筋肉の塊のような臓器です。
この筋肉に血流を供給する血管が冠動脈といって心臓表面を這っている比較的細い動脈です。
この冠動脈にLDLコレステロールが高値だとプラークが形成され
- 血管内腔が狭窄すると⇒狭心症
- 血管内腔がプラークの破たんにより血栓が形成され内腔が閉塞すると急性心筋梗塞となります。
血管年齢・下肢の血管の閉塞を調べる検査装置として脈波測定装置があり、当院でも血管年齢として検査を実施しております。
検査時間も数分で済みます。
(写真:血管年齢測定装置)